
「スタッフの接遇」と「職場文化」の改善を図る
目次
課題と解決とその効果
課題
- 「病院の顔」である受付やすべての医療スタッフの接遇レベルを向上させ、患者さんに満足いただける病院に成長したい
- 職員同士の関係構築がうまくできないことにより、退職するケースが発生していた
解決策
- 各部署のスタッフと外部専門家による接遇委員会の定期的な会議の実施
- 頭で考えるだけではなく体で覚えられる「実践型」の接遇研修の実施
その後の効果
- 受付の接遇に対するよい評価が増えた
- 研修の満足度が高く、系列病院での実施の要望が寄せられた
- 院内関係者全員が同じ方向を向いて動いているという実感を持つことができた
マイナビ医療・介護経営でプロフェッショナル人材を活用する組織には、一体どのような変化が起きるのでしょうか。ここでは、実際に経営課題の改善に向けて取り組んだ法人の皆さんに、実感できたメリットについて詳しく伺います。今回登場していただくのは、図南病院の事務長を務める久昌博さんです。
「スタッフの接遇」と「職場文化」の改善を図る
よりよい医療を提供するという目的を達成するに当たり、当院には「スタッフの接遇」と「職場文化」という2つの課題がありました。スタッフの接遇に目を向けたのは、来院者から受付対応に関するさまざまな意見を頂いたことがきっかけです。受付は「病院の顔」として多くの方が最初に接する場所です。第一印象がとても重要なので、言葉遣いやマナーについて見直す必要があると考えました。それと同時に、受付スタッフだけでなく医師、看護師、臨床検査技師を含むすべての医療スタッフが接遇のレベルを高めることで、患者さんにより満足していただける病院に成長できると判断。全職員を対象に、接遇の見直しを進めることにしました。
職場文化については、職員同士の関係が思うように築けず、一方のスタッフが退職するケースが発生したことをきっかけに、改善を図りたいと考えるようになりました。職場環境の悪化はスタッフの減少を招き、結果的に患者さんへの医療提供にも支障をきたします。風通しのよい職場づくりを進め、よりよい医療を安定的に提供できる環境を整える必要性を感じました。
以前は、接遇に詳しい院内の職員が新入職員に向けてオリエンテーションを行ったり、外部講師を招いて接遇研修を実施したりしていました。コロナ禍の影響で定期的な研修が難しくなり、一時的に中断している状態でしたが、ようやく世の中が落ち着いてきたこともあり、あらためて2つの課題に取り組むことになりました。しかし、院内だけで抜本的な改善を図ることは難しいと判断し、外部の支援を受けながら進めることに。そこで、「マイナビ医療・介護経営」のサービスを活用し、プロフェッショナル人材である専門家を派遣してもらうことにしたのです。

当院のニーズを反映した接遇向上の取り組み
接遇に関しては、まず、身だしなみやあいさつなどの項目を盛り込んだチェックリストを作成しました。このチェックリストは毎年全職員に配布し、長く在籍する職員も年1回は目を通す機会を持てるようにしています。また、元々設置していた接遇委員会の体制も強化しました。会議を定期的に開催し(月1回)、接遇に関するさまざまなテーマを議論する場を設けたのです。参加メンバーは、看護部、受付部、薬剤部、検査部といった各部署のスタッフ。さらに、マイナビ医療・介護経営の専門家にもオンラインで加わってもらうことになりました。知見が豊富な外部の方が参加することで、内部のメンバーだけで集まるよりもいい意味で緊張感が生まれ、議論がより深まることを実感しています。
院内研修の内容は、接遇委員会で交わした議論やチェックリストの回答状況を参考に決めました。社会人としての基礎マナーを解説するような一般的な内容ではスタッフに響かないと思ったので、マイナビの専門家に協力を仰ぎ、当院の状況や文化に沿った内容にアレンジを加えてもらいました。また、スタッフに向けて研修を行う前に、理事長や接遇委員長など上層部に確認を取り、そこで得た意見や要望も研修内容に反映してもらいました。

特に改善したいと考えていた受付スタッフに関しては、全職員向けの研修とは別に、電話対応、言葉遣い、話し方など、よりレベルの高い応接やマナーについて指導してもらいました。接遇を担当したマイナビの専門家は航空会社での勤務経験を持つ方で、複数の医療機関で講師を務めた事例も交えながら分かりやすく解説してくれたため、非常に有益な時間となりました。研修形式にも一工夫されており、参加者が単にお辞儀の仕方や話し方を頭で理解するだけでなく、体で覚えられるようにグループワークやロールプレイなどを取り入れた実践型だったことが印象的です。
「ゼロベース」で挑んだ職場文化の改善
職場文化の醸成においては、院内に専門チームを発足させるところから始めました。当院は約2年前から、県が事業の一環として取り組むハラスメント対策に関わり、弁護士、社労士、医師たちとのつながりを築いてきました。彼らのアドバイスを受けながらハラスメント事案に対応するチームを整備し、相談窓口からその後の対応までサポートする体制を当院にも整えました。このチームの存在や相談方法については名刺大のカードに記載し、全職員に配布・周知しています。また、安心して気軽に相談できるように、カード内のQRコードから相談内容を記入するページに飛ぶことができるようにしました。
万が一、職員からハラスメントに関する相談があった場合は、専門チームから当事者に声をかけて対応する流れです。以前は、事務長である私が単独で各事例に対応していましたが、専門チームが発足してからは2名体制で応じるようにしています。対応中に困ったことがあっても、マイナビ医療・介護経営で紹介いただいた専門家や、県のハラスメント事業に関わる皆さんに相談できるので、とても心強いです。
院内研修においても、適切なコミュニケーションの取り方やアンガーマネジメントの考え方について詳しくマイナビの専門家に説明してもらい、正しい怒り方や叱り方、感情的になってしまいやすい場面での対応方法を学べる、実践的な内容にしました。また、「どのような振る舞いや考え方がハラスメントにつながるのか」といった定義や基本的な考え方についても、あらためて丁寧に指導してもらいました。こうした学びが、よりよい職場文化の醸成につながっていると感じます。
研修にはコストをかけるだけの価値がある
マイナビの専門家に協力いただいた研修の内容や参加率は、非常に満足度の高い結果となりました。受講後のスタッフから「もう一つの系列病院でも実施してほしい」といった声も寄せられたほどです。どの職員も都合がつきやすいよう、年3回の実施としたことも功を奏したようで、回を重ねるごとに参加率が増えていきました。終業後である17時半から18時半という時間帯に研修に参加することは、職員にとって少なからず負担だったかもしれませんが、それでも参加者が増えた背景には、研修に対する評判の声が広がっていたことがあると思います。院内全体で向き合うべき課題と考え、理事長、委員長、副委員長、医局長など上層部にも協力してもらったことで、関係者全員が同じ方向を向いて動いているという実感を持つこともできました。
もし院内だけで改革を進めていたら、ここまでの成果は得られなかったでしょう。何よりも、第三者であるマイナビの専門家が後押ししてくれたことが非常に大きかったです。自分たちだけで動こうとすると、通常の業務に加えて多くの時間や労力がかかりますし、予算を割いて当院の未来を左右する取り組みなので、失敗できないというプレッシャーもあります。そうなると、なかなか思い切った手を打てず、年月だけが過ぎていくことも考えられます。しかし今回は、プロフェッショナル人材が伴走してくれる心強さから、安心して物事を進めることができました。

研修を円滑に進めるためには、講師との相性がとても重要です。この点がうまくいかないと「せっかく予算や時間をかけたのに、成果はいまいち……」という事態になりかねません。例えば、病院側はベーシックな内容を求めているのに、実践的な方が役立つとレベルの高い内容を押し付けられるようなことが起こりがちです。しかし今回は、マイナビ医療・介護経営のサービスとして専門家に参画いただいたので、そういったすれ違いが起きることなく、非常にスムーズでした。事前にマイナビの担当者が当院の状況や特徴をヒアリングし、しっかりとニーズを理解した上で、講師として適切な専門家を選んでくれたのです。その方は、地域性や当院の特徴に寄り添いつつもリードしてくれるタイプだったので、外部からの後押しが欲しかった当院にとってはぴったりの人材でした。
外部からの支援を受けるメリットを実感
さまざまな取り組みの結果、受付の接遇に対してよい評価を耳にする機会が増えました。しかし、ここで満足せず、目配りや気配りといった細かい部分にも改善を加えていきたいと思います。院内のあらゆる部分に目を向ければ、改善すべき課題はおそらく他にもあるはずです。長期にわたり入院している患者さんへの接遇が、その一例です。入院期間が長くなると、職員と患者さんが親しくなる一方で、なれなれしい言動になってしまうことがあり、課題の一つとして認識しています。また、職場文化の面では、悩みが大きくなる前に気軽に相談できる環境を整え、職員が生き生きと働ける職場づくりをめざしていきたいです。
今回、マイナビ医療・介護経営のサービスを経験したことで、課題への取り組み方に有力な選択肢が増えました。内部だけで問題を抱え込むのではなく、外部の支援を受けながら進めるメリットを実感できたことは、私にとっても大きな出来事です。これからも、関わるすべての人から選ばれる病院をめざして、一つひとつ丁寧に、より適切な方法で課題に向き合っていきたいと考えています。

【特定医療法人久会 図南病院(高知県高知市)】
1967年創設。現在、8つの診療科を有し、総許可病床は183床。緩和ケア外来や24時間体制の訪問看護ステーションを備え、終末期医療において入院および在宅医療・介護を通じたさまざまな選択肢を提供。また、基幹病院からも多くの患者さんを受け入れ、地域医療を支えている。
法人情報
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- 法人名
- 特定医療法人久会 図南病院
- 業種
- 医療
- 規模
- ~ 183床
- 支援テーマ