Solution

人事評価制度(薬局)

薬局経営を支える”人事評価制度”、薬剤師のモチベーション向上や組織活性化をご支援致します。

このような課題を解決したい方へ

  • 人事評価制度活用により、企業としての魅力を高めたい
  • 評価基準を明確にし、従業員のモチベーションを向上させたい
  • 人間関係に起因する問題に課題を感じている

薬剤師のやりがい維持とスキル向上が薬局経営を上向きにーー薬局の人事評価制度構築

マイナビ医療・介護経営の専門家: OD人事経営コンサルティング 代表 上妻 祐司 氏

「対物から対人へ」と医療の流れが変わったことによって調剤報酬も変化し、薬局経営は転換期にあります。安定した経営を実現するためには、高いスキルを持つ薬剤師の確保や健全な組織形成が欠かせません。しかし、具体的な術をどれだけの薬局が認知し活用しているでしょうか。昨今、その1つである人事評価制度を導入する薬局が増えています。中小企業診断士の資格を生かして薬局の改革に携わる、OD人事経営コンサルティング代表の上妻祐司専門家に、人事評価制度導入の活用についてお話を伺いました。

薬局をめぐる時代の潮流

薬剤師は国家資格であり、これまでいかに専門スキルを高めていくかが求められてきました。しかし、国が「対物から対人へ」と舵を切ったことに伴い、令和6年度の調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師の獲得、体制加算の推進などが加わり、対人への流れが強化されました。薬剤師が調剤知識とスキルだけで生き残れる時代ではなくなった今、最も必要とされているのは対人スキルです。相手の立場になって物事を考えるコミュニケーションスキルはもちろんのこと、マネジメント力を発揮して人材育成にも携わり、薬局全体の経営を改善させていくことも求められています。さらに、コンビニエンスストアがオンライン薬局の受け取りサービスを始めるなど、異業種の参入による競争の激化も進んでおり、今まで地域密着経営を重視してきた薬局は窮地に立たされています。

人事評価で薬局はどう変わる?

現在、調剤薬局は6万軒以上と、1974年と比較して2.3倍に増えました。薬剤師の数も増え続けているものの、調剤薬局の増加速度の方がはるかに早く、人材不足が常態化しています。各薬局は能力を持った薬剤師を獲得し、キャリアアップを図ろうとさまざまな取り組みで人材確保や定着に向けた努力をしており、企業としての魅力を高めることも必要になってきているようです。そこで注目されているのが人事評価制度で、これを活用しようとする動きが高まっています。

そもそも人事評価制度を導入する目的は、各薬局が目指すべき経営目標・事業戦略達成のために、知識やスキル、行動を持った人材にモチベーション高く働いてもらうためです。例えば、調剤スキルが高いものの、薬局の方向性には賛同しない従業員が一人でもいると、組織全体のパフォーマンスが下がってしまいます。しかし、人事評価制度を導入し、目指す方向に向かって全員で協力し合える組織へと成長することで、目標を達成できるのです。

 

【参照】日経ドラッグインフォメーション『日本全国の薬局数は6万2828軒で微増』|日経ドラッグインフォメーション

【参照】厚生労働省『令和5年度衛生行政報告例の概況 』|厚生労働省

あいまいだった薬剤師の評価基準を明確にして不満を解消

どのように導入するのか、これまでに介入したケースをご紹介しましょう。調剤薬局の店舗数を急激に拡大したところ、数年で従業員が何倍にも増え、気がつけば薬剤師をはじめとする従業員のほとんどが入社3年未満になっていた薬局がありました。この薬局は、これまで「顔の見える関係」があり、人事評価制度がそれほど整備されていない状況でも安定を維持することができていました。しかし、急激な増員に、経営のトップ層が従業員を把握することが難しくなり、共通の物差しで評価しようと、人事評価制度の検討が始まりました。

はじめに、従業員へのアンケートを実施して分かったことは、昇格・給与・人事評価の基準がはっきりしないことへの不満や不公平感が非常に強いことでした。従業員からこのような不協和音が出てくることは問題が潜在化していることの表れで、経営者の耳に届く頃には状況は悪化し、そこで初めて人事評価制度の必要性に気がつくのです。

人事評価制度作成にあたり、発行された処方箋の枚数、かかりつけ薬剤師の人数、在庫など、客観的な数字で評価しようと考えていました。しかし「店舗のエリアによって条件が異なるので、その項目で評価することは難しい」という意見が出たことで再考し、薬局のエリアや入職する薬剤師のバックグラウンドなど、さまざまな違いも評価項目として取り入れました。

第三者の視点を採り入れて足りない視点に「気づく」

ある薬局では、社長自らが人事評価制度を作ったものの、うまく運用できず支援を求められました。確認してみると「相互協力」の評価項目の不足が原因であるとともに課題でもありましたが、そのことに誰も気づいていませんでした。制度構築の際、薬局の経営者・従業員だけで考えるのではなく、広い視野でとらえられるよう、第三者の視点が欠かせません。

この薬局は、あるエリアに集中して複数店舗を出店しており、必要時は相互に薬を融通し合い、事務員が自転車や車で運んでいました。しかし、年配事務員からの「足が痛くてできません」「車を運転したくありません」という発言から、若手事務員が対応する状況が生まれており、世代間のギャップが感じられました。若い事務員から、この事実を会社として見てくれているのかという疑問が生じ、不満へとつながっていたのです。このような事態を把握するためにヒアリングは重要で、自分たちで進めることは困難です。また、他の従業員に気を使って言えないこともあるので、私のような第三者が入り評価内容を提案することも重要な役割です。評価項目に入れ込むことで、手当がつくかどうかは別途議論が必要ですが「あなたがやっていることは経営者がきちんと見ている」というメッセージを伝えることが非常に大切だと思います。

人事評価シート作成は従業員との共同作業

人事評価制度を導入していない薬局はまだ多くあります。私は人事評価制度の構築が必須だとは考えておらず、長年一緒に働いていて相互理解ができているような薬局であれば作らなくてもいいこともあります。しかし、さまざまなバックグラウンドを持った薬剤師を採用し協働していくために、評価される人も「どのように評価されるのか」が分かる客観的な視点の物差しが必要です。人事評価において主観で評価すること、つまり「好き嫌い評価」は最大の敵で、何の根拠もなく、場合によっては出た成果をねじ曲げてしまうこともあるため、時間をかけて客観的評価のプロセスを作り上げることが大事です。伝えるだけでは従業員の行動は何も変わりません。人事評価制度を作るプロセスから従業員も関わることで納得した内容となり、業務に前向きに関われるようになります。

改めて注目される、薬局の人間関係

調剤薬局の場合、小さい店舗で同じ人たちが毎日顔を合わせており、逃げ場がないことから、人間関係の課題感が特に強いと感じています。そこをしっかりメンテナンスしなければコミュニケーションが希薄になり、患者さまが来た時に余裕を持って接することができず、機械的な対応をしてしまうことにつながります。その積み重ねが生産性の低下を招き、調剤過誤などを引き起こすことになるのです。これまでこうした人間関係に起因する問題が見過ごされてきたのではないでしょうか。

今後、在宅と薬局をオンラインでつなぎ、服薬指導をするケースの増加が予想されており、一人ひとりの患者様にどれだけ向き合えるかが薬局経営のカギになります。対面とは異なるオンラインで患者様本人やご家族にどこまで説明できるか、患者様の疾患や状態に合わせて適切な対応ができるか、という点で薬剤師のコミュニケーション能力が重要になってきます。

また、寒い時にタクシーを待っている患者さんに事務員が「こちらでおかけになってお待ちください」と暖かい場所を案内したり、従業員みんなでOTC薬や健康食品の販促を考えて積極的に売り場づくりをしたりするなどのコミュニケーションも大切です。そのような行動を評価項目の1つに含めて管理職が評価することで、従業員のモチベーション維持や誰にとっても居心地のいい薬局づくりにつながっていきます。

組織風土改革に30年以上関わり、さまざまな施策を試みてきましたが「共通の目標を目指してお互いに協力し合えるようなイベントがあると組織はまとまってくる」という答えにようやくたどり着くことができました。

マイナビ医療・介護経営と共に二人三脚で歩む

普段は私一人で支援に入っていますが、マイナビ医療・介護経営と協力することでマイナビブランドという安心感はもちろん、営業の方が伴走してくださることが絶対的な強さだと感じています。営業の方の視点で客観的なアドバイスをいただき、また、私が言ったことを咀嚼して分かりやすくクライアントに伝えてくださることもあり、存在価値は非常に大きいといえます。

  • 中小企業診断士の資格を活かして経営的な視点からも人事評価制度の設計ができること
  • 従業員や管理職と一緒に評価設計のプロセスを踏んで制度を作り上げていくこと
  • 従業員への評価研修と管理職への評価者研修が支援に含まれること

この3つを強みとして、マイナビ医療・介護経営と共に人事評価制度を必要とする薬局の力になれればと思います。

調剤報酬改定で多くの項目が見直され、さらに医療DXへの対応などが加わり、薬剤師がやるべきことは間違いなく増えていきます。医療従事者は国民の健康を守るという大きな役割を担っているので、皆さんがモチベーション高く、やりがいを持って活躍できるように、人事評価制度の側面から支援を続けていきたいと思います。健康は何より最優先されるべきことですから、薬剤師として課せられた役割や意義について考え、自分たちの実践が価値のあることだと感じていただけるよう、努力し続けていきます。
 

人事評価制度(薬局) 専門家

OD人事経営コンサルティング
代表
上妻 祐司専門家

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